トルコのイスタンブールにある世界遺産「アヤソフィア」は、現在は博物館になっている大聖堂です。内部には見どころがたくさんあるのですが、キリスト教とイスラム教が混在しているという不思議な空間です。今回は「アヤソフィア」について歴史や見どころをご紹介します。
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目次
- イスタンブールの必見スポット・アヤソフィアをご紹介!
- イスタンブール・アヤソフィアは世界遺産
- イスタンブール・アヤソフィアの歴史
- イスタンブール・アヤソフィアの見どころ
- イスタンブール・アヤソフィアの基本情報
- イスタンブール・アヤソフィアと一緒に観光したいスポット
- イスタンブールに行ったらアヤソフィアを訪ねよう!
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イスタンブールの必見スポット・アヤソフィアをご紹介!
トルコ最大の都市であるイスタンブールにある大聖堂「アヤソフィア」は、今は博物館になっている観光スポットの大聖堂です。壮大で荘厳なアヤソフィア大聖堂は、キリスト教、イスラム教、そして政教分離というイスタンブールの歴史をそのままなぞったような経歴をもち、内部に入ればそれぞれの時代の文物を見ることができます。
今回はトルコ・イスタンブールの「アヤソフィア」の歴史をご紹介すると共に、見どころ満載の大聖堂内のおすすめスポットをご案内します。
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イスタンブール・アヤソフィアは世界遺産
アヤソフィアはトルコ・イスタンブールのスルタンアフメット地区にある大聖堂です。トルコ語で「アヤソフィア・ミュゼスィ」、つまり「アヤソフィア博物館」という名称が付けられている通り、いまは博物館として一般に開放されている世界遺産です。
トルコ語の「アヤソフィア」の語源は「ハギア・ソフィア」というギリシャ語で「聖なる叡智」を意味します。現在でも「ハギア・ソフィア大聖堂」と記されることがあります。
アヤソフィアが世界遺産に登録されたのは1985年、「イスタンブール歴史地域」の構成要素の1つとしてです。アヤソフィアの他にはブルーモスク、トプカプ宮殿などトルコの歴史に重要な役割を果たした建造物が世界遺産「イスタンブール歴史地域」の構成要素になっています。
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イスタンブール・アヤソフィアの歴史
トルコのイスタンブールは、世界て唯一アジアとヨーロッパという2つの大陸に跨がっている都市です。そのため、いつの時代もこの地は歴史の中心地であり、各時代の情勢を写していました。
イスタンブールにある世界遺産・アヤソフィア大聖堂の歴史は、統治者とその信仰する宗教が劇的に変わってきたイスタンブールの歴史をそのままなぞっています。
アヤソフィア大聖堂の歴史は大きく3つの時代に区分されます。この項では、この3つの時代の概略をみていきます。アヤソフィア大聖堂は、外観はイスラム教のモスクなのですが、中にはイスラム教らしくないものもたくさん見受けられる、不思議なスポットなのですが、歴史を知ればその理由が理解できるはずです。
教会時代
アヤソフィア大聖堂の歴史は、「大聖堂」という名称が示す通り、キリスト教の教会としてスタートしました。現在のアヤソフィアの元となる教会は紀元350年に建築が始まったということですから、1660年という長い歴史をもっています。
創建後の歴史の中でアヤソフィアは何度か火事にあい焼失していますが、537年にビザンチン様式の大聖堂が完成しました。これが現在のアヤソフィア大聖堂で、建物としては創建以来3代目になります。
1453年のビザンチン帝国(東ローマ帝国)滅亡まで、アヤソフィア大聖堂はギリシア正教の大本山として帝国の信仰の頂点に君臨していました。また、1520年にセビリア大聖堂が建設されるまで、1000年近く世界最大の大聖堂としての地位を保っていました。
モスク時代
1453年にコンスタンティノープルを陥落させ、ビザンチン帝国を滅亡させたのはオスマン帝国でした。オスマン帝国はイスラム教を信仰していましたので、アヤソフィア大聖堂はモスクに改造されてしまいます。
大聖堂の内部にあった十字架は外され、メッカの方向を示すミフラーブが造られ、キリスト教的なモザイク画などは漆喰で塗りつぶされました。その後、礼拝堂の中にイスラム教の説教壇が設置されたり、外に4本のミナレットが造られたりしました。
すっかりイスラム教のモスクに改造されたアヤソフィア大聖堂は宮殿に近いところに位置しているため、スルタン(オスマン帝国の君主)が毎週金曜日の礼拝に訪れ、オスマン帝国において最も格式あるモスクの1つとなりました。
博物館として
長らくオスマン帝国の時代が続きましたが、20世紀になった1923年にトルコ共和国が誕生、翌年オスマン帝国は消滅します。今でもトルコ国民の大半はイスラム教徒ですが、政策は政教分離です。政教分離の一環としてアヤソフィア大聖堂は今度はモスクから博物館に改修されます。
この時、壁の漆喰がはがされてキリスト教時代のモザイク画が姿を現しました。また、絨毯の下からはオンファリオンと呼ばれる、ビザンツ帝国皇帝の戴冠式を行った円形の場所も出現しました。
改修はされたものの、長い歴史をもつアヤソフィア大聖堂のいたるところには劣化が見られ、現在でもトルコ国内外のサポートを受けて修繕が進められています。
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イスタンブール・アヤソフィアの見どころ
イスタンブールにあるアヤソフィア大聖堂は、キリスト教とイスラム教が混在する一見不思議なスポットなのですが、大聖堂がたどった歴史を振り返ればその理由がお分かりいただけたことでしょう。
この項では、数多いアヤソフィア大聖堂の見どころの中から見逃せない必見スポットをいくつかご紹介します。
外観・建築
アヤソフィアは直径30メートル、高さ56メートルもの大ドームと4本のミナレットが特徴です。世界遺産にふさわしい壮大な建造物ですが、ミナレットはオスマン帝国の時代になって取り付けられたもので、建築物として高い価値があるのは聖堂の方です。
巨大なドームは1度地震で崩れてしまいましたが、その後下部を窓にするなど軽量化が図られ、それ以降はたびたびの地震に耐えています。アヤソフィアの大聖堂はビザンチン帝国時代の代表的遺構、かつビザンチン建築の最高峰といわれ、高い評価を得ています。建築の歴史を変えたと評されることもあるほどです。
ちなみに、4本のミナレットは造られた時期が違うため、材質や形など様式が揃っていません。そんなところにも注目して見ても面白いでしょう。
天井
アヤソフィア大聖堂の1番の見どころは、何といっても大ドームです。直径30メートル、高さ56メートルという巨大なドームが1500年も前に造られたということも驚きですが、内部からみたその壮麗さと迫力には一瞬言葉をなくしてしまいます。
大ドームの中心は円形に配置されたアラビア文字のカリグラフィーで装飾されています。聖人の偶像を禁じていたイスラム教では、装飾文字のカリグラフィーがモスクなど神聖な場所を飾る重要な要素です。アヤソフィアでもいたるところにアラビア文字の装飾が見られます。
大ドームは4つの半ドームで支えられていますが、半ドームの半ドームの間には天使が描かれています。セラフィムという6枚の羽根をもつ一風変わった天使で、天使の中では最上級の位のものです。フクロウのような褐色の羽に覆われて描かれているのも異様ですが、顔が描かれていないものもあります。
元々は顔が描かれていたのですが、9世紀頃に起こった聖像破壊運動によって顔を塗りつぶされてしまったものです。現在顔のあるものはアヤソフィア修復時に現れたもの、顔のないものは塗りつぶされたままのものです。
モザイク画
金色が多く使われているモザイク画はビザンチン文化の代表ともいえるものです。イスラム時代には漆喰で覆われてしまったアヤソフィアのモザイク画ですが、修復で漆喰が剥がされた際に再び日の目を見ることができました。
1階の中央入口の上部にある『キリストと皇帝』のモザイク画は、キリストに礼をとる皇帝の姿が表現されています。西南の入口上部にある『聖母子、ユスティニアヌス1世とコンスタンティヌス1世』は、両皇帝がアヤソフィアとコンスタンチノープル(イスタンブール)を聖母子に捧げているモザイク画です。
アヤソフィア大聖堂のモザイク画は2階にあるものが多いのですが、中でも最高傑作と言われているのが『ディーシス(嘆願)』と名付けられたもので、ビザンチン帝国時代のモザイク画の最高傑作の1つです。下の部分のほとんどは欠落していますが、中央のキリストをはじめ右の洗礼者ヨハネ、左のマリア共にその繊細な表現は感嘆に価します。
『キリストと皇帝コンスタンティノス9世・ゾエ夫妻』のモザイク画は、女性ゾエに注目です。コンスタンティノス9世は彼女の3人目の夫で、結婚した時ゾエは60歳を過ぎていたのですが、とても若々しく表現されています。
祭壇とミフラーブ
アヤソフィア大聖堂の内部には、イスラム教的なものや装飾も至る所に見られます。中でも大きく人目を引くのがミンバルと呼ばれる説教壇です。金の装飾が施された大理石造りの説教壇は、美しい幾何学模様が彫られた側面にも注目です。
ミフラーブはイスラム教の聖地であるメッカの方向を示す窪みですが、キリスト教の聖堂をイスラム教のモスクに改造した時に造られたため、建物の中央から少し外れたところにあります。
聖母マリアの手形
アヤソフィア大聖堂にある柱の中に、1本穴があいているものがあります。これが別名「聖母マリアの手形」と言われている柱です。
柱の穴に親指を入れて指を離さずぐるりと1回転できたら願いが叶うという言い伝えがあります。そのため、連日多くの人が願いを込めてこの柱で指を回しています。叶えたい願い事がある人は是非試してみてください。
その他
アヤソフィア大聖堂のドーム下に立ち、ぐるりと周囲を見回すと、アラビア文字の書かれた黒い大きな円形パネルが見られます。モハメッドなどの聖人、そして有名な聖職者などの名前が書かれたものですが、これは現在残る最も大きなアラビア文字といわれているものです。
また、人の背丈を超える大きな「大理石の壺」は、16世紀のオスマン皇帝によってトルコ東部からもたらされた、1枚岩から作られた紀元前3、4世紀頃のものです。「マフムド1世の書斎」は、18世紀に造られた金の装飾がまばゆい空間です。
蛇足ながら、アヤソフィアにはグリと名付けられた看板猫がいます。時々大聖堂の中を歩いているので、運が良ければ出会えるかもしれません。
イスタンブール・アヤソフィアの基本情報
「アヤソフィア博物館」の開館時間は季節によって変わります。4月から9月は9:00から19:00、10月から3月は9:00から17:00です。いずれも月曜日は休館日になります。
「アヤソフィア博物館」の入場料は100トルコリラ(約1500円)ですが、イスタンブール市内の他の美術館や博物館を回るならミュージアムパスを購入するのがおすすめです。価格は5日間有効で325リラ(約5000円)です。
2020年3月から価格が上がったので安くは感じないかもしれませんが、トルコの観光スポットは入場料が比較的高めな上、人気スポットはチケットを買うのに時間がかかることも多いので、パスを持っていると時間の節約にもなります。
「アヤソフィア博物館」はイスタンブールのヨーロッパ側のスルタンアフメット地区にあります。この地区に宿泊している場合は徒歩でアクセスすることができます。トラム利用の場合は「Sultanahmet station(スルタン・アフメット)停留所」で下車し、徒歩4分ほどでアクセスできます。
「アヤソフィア博物館」の入口ではセキュリティーチェックの荷物検査がありますので、荷物はすぐ見せられるようにしておくのがおすすめです。また、大きな荷物は持ち込めないので、預けることになります。
イスタンブール・アヤソフィアと一緒に観光したいスポット
「アヤソフィア博物館」は、同じくイスタンブールの必見観光スポットである世界遺産「トプカプ宮殿」と「ブルーモスク」の中間に位置しています。ですから、この3つをまとめて1日で観光することもできます。
「トプカプ宮殿」はオスマン帝国の君主が住んでいた宮殿です。内部は整備され、博物館として公開されています。謁見の間、宝物館、ハレムなどの見どころがあり、皇帝の生活ぶりや帝国の文化などを伺い知ることができます。
「ブルーモスク(スルタンアフメットモスク)」は1616年に完成した、「世界一美しいモスク」とも呼ばれているスポットです。
青味がかっているブルーモスクの内部は細密な模様に覆われています。神の言葉を表す金色のアラビア文字が装飾模様と一体化し、オスマン朝建築の最高傑作といわれる空間を作り出しています。
イスタンブールに行ったらアヤソフィアを訪ねよう!
以上、トルコ・イスタンブールにある世界遺産「アヤソフィア博物館」をご紹介しました。キリスト教からイスラム教へと変遷するイスタンブールの歴史そのものがアヤソフィア大聖堂の歴史です。
各時代を代表する芸術を鑑賞することができ、キリスト教的なものとイスラム教的なものが混在するアヤソフィアは不思議な魅力にあふれているスポットです。イスタンブールを訪問する際は、是非ゆっくりと時間をとってその魅力を堪能してください。
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